2022/5/26 激突第三章スタッフトーク「CG」個人的メモ
登壇者のかた(敬称略):
高賀茂寛人〈ルックデベロップメントTD/リードアーティスト〉
荒幡和也〈ルックデヴ/VFX/3Dコンポジットリード〉
田中宏侍〈CGIプロデューサー〉
このトークショーはあのユリシーズのシーンの演出意図が聞けて、そこを最大限活かそうと苦心したCG演出の話が聞けたのに、真実ほろりと涙が出た。
ビフォーアフターがほんとにほんとに違いすぎて。爆煙のなかからのユリシーズ、ホントかっこよかった。
以下、Twitterより抜粋。
いつもは「「激突」第三章スタッフトーク」という画面なのに、今日は「激突」第三章スタッフトーク第二弾CG、というオリジナル画面。
OPにブリュンヒルトが翔けあがりスパルタニアン庫も出る特別な動画が。
「依頼してないのに!」とぐんじさん。めちゃめちゃかっこよかった!
「すごい映像をいっぱい作ってきてしまった…」と尺を心配するぐんじさんがMCでCGトーク。
トークテーマ①ガイエスブルク要塞
1期2期は、イゼルローンもレイアウト用ラフのみだったが、3期で要塞戦あるからとCGを新作。(クレールさんの時もそんなお話があったな)
球体前面に主砲、後背にエンジン。
エンジンは帝国戦艦のエンジンと同じ、既存のものを利用。
主砲、フィンがめり込まず広がるようにするのが難しかった。
設定描く時は動く事を考えないので、CGでちゃんと折りたためなかったりする。
めりこんでるので調節したり、破たんなく動かすのが難しい。
頭の中で考えつつ実際にも動かしながら、都合のいい形を決めていく。
原作にはガイエスブルクの主砲の名前がないので、傭兵が持ってる大型の剣のことであるツヴァイヘンダーをつけた。
羽根が広がっていく時どう干渉しあうか確認しつつ、作りながら枚数も調整した。
ぐんじさん「シャフト有能では?デザインセンスもある笑」
後ろの航行エンジンの中心部もディテールがある。
動きに応じてちらちら光が入り込んでる。
ちゃんとした構造を作ってあげると光の反射に影響する。
1枚テクスチャはって、立体感あるものにする。
トークテーマ②
戦艦、ヒューベリオン、リューベック
あらはたさん「(話、)自分で大丈夫です!」と力強い。
下地色塗りに、CGの情報をどれだけのせるか調整する、その調整によりノイエの戦艦の見た目になる。
作画(主線、色の塗り分け)が基本。
CGの素材を上からかぶせる。
間接光をかぶせる。
間接光はノイエ戦艦見た目のキモ。
きちんと3Dシミュレーションで反映する。これがあると見た目がしまる。
CGで中にライトをしこみ、光をもらすの難しい。
ノイエでできるようになった。
リューベックも、塗りの情報にCGで金属の質感やグラデーションや間接光をつける。
同盟のほうがパキパキ四角いので、影がありわかりやすい。
帝国は曲面多いので影がはっきりできにくく難しい。
グラデーションを細かくしすぎても画面をつぶすので、細かくしすぎずでもしっかり入れている。
ノイエはハイブリッドアニメなのでCGとそうでない画面の親和性も大事。
作画は影と影じゃないところのメリハリがはっきりしてる。CGはなめらか。
違いがありすぎると親和性がないので、CGをセルに寄せている。
ここ、ミュラー旗艦とテロップ入れました!と嬉しそうなぐんじさん。
かっこよかったです✨
トークテーマ③ワープ(31話)
まずはコンテ撮。設計図。どうしたいんだろう?を確認。
3Dモーション、3Dで動きをつける。
エフェクト仮のせ、OKもらって本撮。
ここはあらはたさんひとりで!
ワープは1期からあらはたさんひとり。
本当は、3Dと撮影は工程として分かれ、部署も違うことが多い。
でもそうするとイメージが伝わりづらくなるので、1人でやるのが理想。
とはいえなかなかできることではない。
でもここはあらはたさんひとりでやってるすごいところ。
ワープユニット、エネルギー補助装置。
最初は1枚の画像で背景美術に発注いくところ、美術だと負担が大きすぎる、恐ろしいことになるとあらはたさん自ら作成。
設定にない後ろのラッパ部分まで作った。一瞬、4カット20秒のシーン。
モデリング、ルック作って、たかかもさんに「壊してください」と依頼。
たかかもさんの二つ名は「壊すのが好き」。
モデルが上がってくると想定してなかったが、モデルがあるなら、じゃあ壊そう、と「壊させて頂きました笑」。
あらはたさん「壊して頂きました笑」。
壊すのは壊れる仕組みを作るところから。
モデルを要素ごとパーツごとに整理して、パーツごとに壊れ方決める。
今回のワープユニットは、太陽光パネルのような部品はすだれがバラけるように、ワイヤーは、ゆがんで崩壊するように。パーツになっていれば壊せる。
たかかもさんは、星乱で採掘惑星がぶつかって戦艦が壊れるシーンも担当。
通常は予算的にできないそう(!)。
破壊シミュレーションなんてやってくれない。
やらせようとするとお金がかかる。
やってみたい、やらせて下さいと言ってくれるからできる。
ワープもあらはたさんご自身からやりたい!と。
上からやらせるのだと、やるのに何人日かかるかなという話になりできない。
トークテーマ④
装甲擲弾兵(シェーンコップの最初の大暴れシーン。上からの俯瞰図もあり配置がわかりやすかった)。
全部CGでやる、という事になり、ロボのアクション作監き にアクションつけてもらいロボのラフ原を作った。
ラフ原は大雑把に描いた動きの絵。ここにモーションつけていく。
同盟の装甲服は動く仕組みをいれるのに足首めりこみやすく大変だった。
動きは可動部分がわかるモデルを使って、コントローラーにしてつける。
動きはシミュレーションでもモーションキャプチャー(役者さんにセンサー付けて動いてもらい動きをプログラムに流す)も使わず、手付、手作業でつけている。
モーションキャプチャー使うと、リアルな動きが大量にできるが、こういう時は動きがぬるぬるして生っぽさが出すぎてしまう。
物理的に正確すぎるとアニメとして不自然。
手前の手を大きめに描くとか、早く動いて欲しいところを強調するとかアニメはする。
実写とアニメの差。
(シェーンコップが斧振るいまくるシーンみて)
「こういう動き、俳優さんにお願いしても無理ですよね…」
トークテーマ⑤
通常撮影映像から。
ユリシーズが爆煙から姿をあらわすシーン。
シーンの意図の「爆煙から出てきて欲しい」を3Dで助長した。
・爆発に奥行出す
・爆発の質感調整
・戦艦の質感調整
最初は爆煙がその場にはりついてて平面で、雲のかげから出てくる感じだったのを、あらはたさんが爆発から作り直して、爆煙の中を通り抜ける感じに。
ユリシーズから尾をひく煙もつけた。
これを「普通にやってる基本です」と言われるあらはたさん。普通はやらないでしょ!というツッコミに「普通はやらないけど、ノイエはやったほうがいい」
先週は作画の撮影の話だったが、こういうCGの撮影はあらはたさんがされている。
銀英伝のCGやり初めて何年?楽になった?という話に、全然ラクにはならない、でも1期2期は本当に大変でよくなんとかなったなと思うが、その時作った資産が活きて余裕をもってやれた。
作り終えればやさしい目で見られる、という声に「まだあと10年ちょっとありますよ!」とやる気溢れる若きあらはたさん。
かかったお金回収しないと査問会にかけられてしまう…というぐんじさんに、「普通なら、終わらせろ、と言われるところ。
「ぐんじさんがいてくれるからチャレンジできた」と。
ぐんじさんとCGチームは同じビル同じフロアでふらっと行って会話できる。
その距離の近しさ、信頼感があるからできる。
トーク全体から、楽しい!やりたい!というはじける熱意と、1ミリでも近く理想そのものに仕上げようという姿勢が当たり前になっているところが感じられ、プロすごい!と思った。
さらりと当然のようにすごいことをするメルカッツのよう。
「獅子の泉」では、こんな素晴らしい面々の別撮りトークショー動画が見られますよ😊